9.その他インバータについて
回生ブレーキについて
回生ブレーキ(電力回生ブレーキ)とは、通常は電源入力を変換して駆動回転力として出力しているモータに対して、逆に軸回転を入力して発電機として作動させます。そして、運動エネルギーを電気エネルギーに変換して、回収または消費することで制動として利用する電気ブレーキの事です。
発電時の回転抵抗を制動力として利用するもので、電力回生ブレーキ、回生制動とも呼ばれています。モータを動力とするエレベーター、鉄道車両、ハイブリッド自動車など、幅広く用いられているのが現状です。
回生ブレーキを利用するには、架線や蓄電池などの電源より高い電圧を発生させる必要があるため、単にモータを電源に接続しただけでは、安定した制動力を得ることはできません。そのため、鉄道車両などでは安定した制動力と大きな回生電力を得るために、さまざまな改良が加えられてきました。
ただし、直流モータで発生する回生電力は直流であり、交流電源に回生するには回生用インバータが必要なため、従来の交流形車両や交直流車両で採用される例は少なくなっています。回生ブレーキは、低速時は誘起電圧の低下により、高速時は弱めの界磁制御によって最大ブレーキトルクが制限されてしまうからです。
直流ブレーキについて
誘導モータに直流電圧を流してモータを制動する(確実に回転を止める)機能を直流ブレーキと言い、始動時と停止時のいずれかに動作させる事ができます。
直流ブレーキには二種類あります。ひとつは、慣性などで回転しているモータを、回生処理なしに停止させて起動する場合に使用する始動時直流制動です。もうひとつは負荷が大きい場合、通常の減速では停止しきらずに、慣性で回転してしまう場合に使用する停止時直流制動になります。
直流ブレーキは、直流制動時間を長くするか、直流制動電流を大きくすることで停止時間を短縮する事が可能です。直流モータの場合、モータへの給電を止めて通常の駆動を停止し、ブレーキを掛ける際、モータに抵抗器を介した閉回路を構成します。通常の出力側(車両では車輪)の回転によりモータを回転させると、モータが発電機として働き、逆起電力(フレミング右手の法則)が発生し電気が流れます。それが抵抗器を介した閉回路を通って自らのモータに戻ることで、モータ内で通常の回転とは逆の回転抵抗を生じさせ(フレミング左手の法則)モータに制動力を得る事ができるのです。
抵抗器は、走行中の運動エネルギーを電気エネルギーに変換してジュール熱を発生させますが、ブレーキ力は、この抵抗器の容量によって変化します。
Soft-PWM制御について
Soft-PWM制御とは、キャリア周波数を下げてノイズ周波数を下げる際に発生する金属音を抑えるための制御です。PWM制御とは、インバータからの出力される電圧を変更するための制御ですが、この制御に必要なトランジスタのON/OFFが主なノイズ発生の原因となります。
ノイズを抑えるためには、トランジスタのON/OFFに関係のあるキャリア周波数を抑えなければなりません。しかし、キャリア周波数を一定のラインまで抑えたところで特有の金属音が発生してしまうことがあるのが難点です。この特徴から、キャリア周波数は、モータ騒音やノイズなどと深いかかわりがあることが分かります。
その金属音を抑えながらPWM制御を行うのがSoft-PWM制御になります。モータ騒音分析を比較してみると、その違いはよく分かるでしょう。ただし、金属音が発生していないだけで、シャリシャリとした音を感じることはあるかもしれません。実際の問題として完璧に抑えることは難しく、実際にはこのような僅かな音が発生してしまうことがあることは覚えておきましょう。
Soft-PWM制御は、インバータの問題点であるノイズを抑えるためにも必要であり、モータの騒音を抑えるはたらきもある大切な制御なのです。
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