13.運転方法とインバータの容量選定について
モータ・インバータともに1台の場合について
インバータとモータの組み合わせから見たインバータの容量選定の基本は、接続するモータの電流を基準に選定をします。この場合、加速や減速時の電流がインバータの定格電流の1.5倍以内に収める事が重要です。
最も多い組み合わせとして、インバータとモータがそれぞれ1台の時の場合です。インバータの定格電流がモータの定格電流値の1.1倍以上になるようにします。一般的にインバータの定格電流は、インバータのカタログ仕様欄に記載されています。
このモータの定格電流値の1.1倍というのは、インバータの出力波形による電流増加を加味して計算された値です。通常、単相電源では単相モータしか駆動できませんが、インバータ駆動の場合、単相電源用インバータがあり、これを利用すれば出力を三相にでき、三相モータを駆動できます。単相電源用インバータには単相100V用と単相200V用の2種類ありますが、大きなモータは運転できないので注意してください。
また、一般的にインバータの最大適用モータは4Pモータを基準に定められており、インバータの定格電流が4Pモータの定格電流に対して十分余裕があるようになっています。しかし、モータの極数が4Pと異なり極数が増える場合は、モータの定格電流が大きくなり、インバータの定格電流より大きくなると運転できなくなるので特に注意が必要です。
複数のモータを同時に1台のインバータで運転する場合について
複数台のモータを1台のインバータで運転させる方法を「並列運転」と言います。この「並列運転」をさせる時は、インバータの定格電流がモータの定格電流値の総和の1.1倍以上になるようにしなければなりません。
この運転方法は、インバータの電子サーマルが正しく動作しませんので、各モータに熱動型サーマルリレー(OCR:Over Current Relay)を設置します。この熱動型サーマルリレーとは、電路の短絡や負荷の過負荷による過電流を変流器(CT)により取り出し、その電流値の大きさによって動作する継電器です。
一般的に、JIS C 4602(高圧受電用過電流継電器)に規定される熱動型サーマルリレーが使用されます。この熱動型サーマルリレーには、瞬時要素と限時要素の2つの動作要素があり、瞬時要素は契約最大電力の500〜1500%の電流を検出して動作が可能です。
また、限時要素は、電流の大きさが大きくなるに従って早い時間で動作するように反限時特性をもち、瞬時要素は短時間の定限時特性があります。実際に、どちらの要素が働いたかは継電器自身が備えている動作表示器で区別がつき、事故処理に役立ちます。なお、この運転方法の場合には、磁束ベクトル制御方式は使用できません。V/f制御方式のみになりますので注意しましょう。
複数のモータを順次(同時使用なし)、1台のインバータで運転する場合
複数台あるモータを同時使用せず、順次運転させながら1台のインバータで運転させる方法を「順次始動運転」と言います。「順次始動運転」をさせる時は、インバータの定格電流が運転中のモータ定格電流の1.1倍と最後に始動するモータの始動電流分を超えるようにします。最後に始動するモータの始動電流は定格電流の6〜8倍と大きくなりますので、モータが要求する電流の総和が非常に大きくなるためです。このため、インバータの容量は極めて大きくなります。
例として、インバータとモータの間にそれぞれ電磁接触器(MC)と熱動型サーマルリレー(OCR)をそれぞれ設置します。その上で3台のモータとインバータを接続し、2.2kWのモータ2台を運転中に、最後のモータの電磁接触器(MC)をONにした時のインバータ容量は22Kになります。
電磁接触器(MC)とは、本体内部の上部に主接点部、下部に電磁コイル、中央横辺りに補助接点部を設けたものです。主接点とは、主回路の接点で大電流を入り切りする接点になります。補助接点とは、小さな電流をON/OFFさせるためにあるものです。
電磁コイルに電流が流れると、電磁コイルに隣り合う固定鉄心が電磁石となるので、可動鉄心がコンタクト・バネの力に打ち勝ち吸引されます。主接点と補助接点の可動接点は、可動鉄心に連動して動くので、それぞれの接点の開閉を行うことが可能です。
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