7.制御方式と特長について
V/f制御について
V/f制御は、インバーターが使われるようになったころから採用されている制御方法です。汎用インバーターにおける基本的な制御パターンの一つで、電圧(V)を出力周波数(f)で割った値が一定の大きさになるように調整します。つまり、出力周波数が高くなれば、その分、出力電圧も増えるのが基本的なV/fパターンです。
本来はV/fの値が一定で、比例の関係にあるのが理想です。しかし、実際には理想的なVfパターンでは、出力周波数が低い領域において、モーターのトルクが低くなってしまいます。そのため、実際には周波数が低い時にある程度電圧を高めとなるように設定をして、トルクの低下を防ぐことが多いです。これを「トルクブースト」と呼んでいます。
V/f制御をしていれば、周波数を決定すると、自然と電圧が決定し、常に一定の制御をすることが可能になるのです。
汎用磁束ベクトル制御について
V/f制御の問題点は、低周波数の時に発生するトルクの低下でした。これを改善する目的で開発されたのが汎用磁束ベクトル制御です。
汎用磁束ベクトル制御とは、モーター電流からトルク分電流(負荷の大きさ)をベクトル演算で数値を推測、インバーターにおける出力電圧を調整し、トルク低下につながらないようにするものです。
V/f制御時に降下していた電圧をあげ、1Hzで最大150パーセントのトルクアップを可能にしています。また、この制御によって、6〜60Hz間において、トルクを定格にしたままでの連続運転が可能になりました。
ただし、トルクの低下を防ぐことはできますが、低速回転の時のムラが大きくなってしまうことがあります。そのムラを防ぐように制御されたのが、アドバンス磁束ベクトル制御です。
アドバンスト磁束ベクトル制御について
アドバンスト磁束ベクトル制御とは、その名の通り、従来からある磁束ベクトル制御の問題点を解決、さらに進化させたものです。
特長として、一定のトルクが制御できる周波数の範囲の最小が0.5Hzからとなり、今までの1Hzに比べ、さらなる低周波域での制御が可能です。また、モーターは、温度が高くなると回転速度が落ちる傾向にありますが、アドバンスト磁束ベクトル制御ならば、温度に関係なく、速度を落とさずに回すことのできる制御となっています。
そして、スマートドライバ回路を採用し、モーターの速度が微速であっても、回転ムラが出ないようになっているのも大きな特長です。
従来のインバーターにはなかった制御を兼ね備えたアドバンスト磁束ベクトル制御の登場により、さらなる高性能化を果たしました。もちろん、標準モーター、インバーター専用モーター両方での利用が可能です。
ベクトル制御について
ベクトル制御とは、汎用インバーターに用いられている制御よりも高精度で高応答なのが特長です。
ベクトルインバーターでは、モーターがどのように回転しているかをPLGと呼ばれるエンコーダで検出。その情報をインバーターへ送り、それによってモーター電流から負荷の大きさをベクトル演算で算出します。
汎用インバーターとの違いはモーター電流が制御でき、トルクと電流の関係を正確に制御できる点です。これにより、速度変動率を抑え、安定した速度運転を可能にしています。このような高精度な運転(負荷の大きさや回転速度から状況を判断して目標のトルクや回転速度を維持する)は、制約がある汎用インバーターでは実現できません。
そのため、ベクトル制御を適用できるモーターの種類も限られていて、ベクトル専用のモーターかPLG付きの標準モーター(ただし、一部機能は制限)となっています。
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