19.インバータに関する用語について その1
インバータとコンバータについて
学術的に言うインバータとコンバータは、日本で呼ばれるインバータとは意味合いが異なります。学術的に言うインバータとは、直流を交流に変換する、あるいはその回路のことを言い、コンバータはその逆、交流を直流に変換する、またはその回路を指します。
しかし、日本ではこの一連の流れを行う装置をインバータと呼んでいるのです。つまり、定電圧の交流をコンバータ回路で直流に変え、その直流の電気をインバータ回路で電圧と周波数を変換、目的に合った交流の電気に変える一連の流れを担う装置のことを指します。
基底周波数について
基底周波数(ベース周波数)とは、モータが受電できる電圧の高さが最大になるときの最小の周波数のことを言います。インバータ駆動をしている時は60Hzを基底周波数として設定していることが多いです。また、インバータ駆動の場合、最大で120Hz程度までは問題なくモータを動かせますが、モータ容量によって異なりますので気をつけましょう。
なお、周波数は高くなるにつれて、負荷トルクは一定でも、モータトルクが下がってしまう可能性があります。これは、周波数が高くなってトルクが下がっても、電圧は一定に近い値になるというインバータの性質によるものです。
手動トルクブースト機能について
V/f制御による運転で低回転の運転をしようとすると、どうしてもトルクが低くなってしまいます。その低くなってしまったトルクに対し、電圧を高めにしてあげることでトルクをカバーする機能をトルクブーストと呼んでいます。
手動トルクブーストとは、本来、インバータ内にあるソフトを使って自動で調整するトルクブーストを手動で行うものです。これは、インバータ自体がモータなどに必要なトルクを自動で演算、トルクブーストをするものを実際の運転状態でチェックしながら、それぞれを手動で決めることを言います。ただし、インバータでは調整できませんので、調整を間違えると過大電流を流す原因となってしまいます。
電子サーマルについて
電子サーマルとは、モータを過熱から守るためにある機能です。電流値を設定することで、モータに過大電流が流れるのを防ぎます。実際に電子サーマルがはたらくとインバータ側の出力を停止し、モータに電流が流れなくなります。
ただし、実際に設定した電流よりも小さい値であっても、電子サーマルが作動してしまう場合も考えられます。この場合、高調波による影響も考えられますので、一概にインバータや回路の故障とは言いきれません。しかし、この電子サーマルが作動するということは、どこかに問題があることがはっきりするので、モータを守る意味でも必ず設定しておきましょう。
多段速設定による運転について
多段速設定とは、それぞれの周波数と加速時間を設定しておき、最終的に目的の周波数に段階的に達するようにする機能です。インバータに設定された時間と周波数を、インバータの入力側で切り替えています。
オーバーロード(過負荷)を防ぐ、あるいはソフトスタートの目的で設定されているもので、いきなり目的の周波数までアップさせることは、モータへの負荷を考えると現実的ではありません。負荷が軽い場合は、インバータの許容範囲で最速稼働も可能ですが、このためには、使用するモータよりも容量の大きなインバータを使用する必要があります。
回生ブレーキについて
インバータには、電気的なブレーキをかける能力があり、その内容の一つが回生ブレーキと呼ばれています。
回生とは、普段はインバータから電気をもらって駆動しているモータが逆に発電機としてはたらき、電力(運動エネルギー)をインバータ側に送り返している状態のことです。
ここでできた電力を消費して完全になくすことで、モータが停止します。
この電力のことを回生電力といいますが、回生電力を消費する方法は主に2通りあります。ひとつは、ブレーキ抵抗器やブレーキユニットを用いて熱として電力を消費する方法、もうひとつは、電源回生コンバータを用いて、電源側に電力を返す方法です。
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