10.高調波の対策について
高調波とは
インバータを使用するにあたり、気を付けなければならないものの一つに、高調波と呼ばれるものがあります。これは、基本の周波数(50あるいは60Hz)よりも2倍以上の整数倍で周波が高いものを指し、一般的には最大で40〜50倍程度までのものをいいます。
高調波が発生すると、電源側にそれが流れ出してしまいます。高調波によって機器のダウンや焼損などの弊害が発生するので、しっかりとした対策が必要になることが多いです。
単純な電熱負荷や電動機負荷から高調波が発生することはない。高調波は、整流回路を持つインバータや、サイリスタなどを利用した制御を行う電子機器、電源の交直変換を行うなどした場合に発生する。
蛍光灯の安定器なども高調波が発生する代表的な電気機器であるが、高調波発生機器については「EN規格の高調波電流規制」に高調波発生限界が定められている。
また、似たものに「ノイズ」がありますが、いくつかの違いがありますので区別して考える必要があります。高調波は、多くはコンバータ回路が動作することで発生するものです。ある程度までは理論値計算が可能で発生量は負荷のかかる容量に対して比例する傾向があります。
高調波の低減対策について
高調波はなるべく発生させないようにしないと、安定した運転ができないばかりか、機器の故障につながることもあります。しかし、インバータ上でどうしても発生してしまうもので、低減対策をとることが多いです。主な対策方法として、電源系統側、またはインバータ側で行うものがあります。高調波電流抑制対策ガイドラインを見ると、インバータ側で行うものがほとんどで、リアクトルを接続するというものです。
リアクトルには「AC(交流)リアクトル」と「DC(直流)リアクトル」があり、これらを片方、あるいは両方を設置することで、高調波の低減が期待できます。
まず、ACリアクトルは、電源とインバータの間に接続されるものです。
次に、DCリアクトルはインバータ回路のPおよびP1端子に対して接続するもので、これらの端子を装備していないものでは利用できません。
本来はAC、DCの両方を設置するのが一番効果的ですが、リアクトル自体の電圧降下が発生することで、インバータの出力も降下する可能性があることを覚えておく必要があります。
また、これらの対策を施しても、完全に高調波が抑えられるわけではありません。場合によってはガイドラインで設定されている上限値に収まらない場合もありますので注意が必要です。
高調波を発生させない方法について
低減対策を練っても高調波が発生してしまうような場合、高調波を発生させないような装置を設置する必要があります。それが、高力率コンバータ、あるいはPWMコンバータと呼ばれるものです。これは、直流を交流に変えるインバータの回路を逆にしてコンバータと同じような役割を果たしています。これによって、高調波を抑えることが可能になるのです。
高力率コンバータは、たとえばACリアクトルとインバータの間に設置して、高調波の発生を抑えます。これらは決して完璧に抑えられるものではなく、あくまで大幅に低減する装置です。
なお、高調波を発生させない専門の装置というものも存在します。高調波の異常を自動で感知し、それを抑えようとしてくれるものです。このような専門的なものを設置することで面倒な書類の提出を抑えることも可能ですが、これには問題点もあります。それは、「コスト」の問題です。
専門的な装置は機材自体が高価で、採用するのに一苦労するでしょう。さらに、運用コストも高くついてしまうため、何かと高くついてしまうものになってしまいますので注意が必要です。
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