4.インバータの主な使用例について その2
工作機械の主軸駆動への使用
本来、工作機械は加工するアイテムの材質・硬さ・サイズ等に合わせ、回転数を調整します。その調整にはプーリーで変速させることで行っていましたが、機械が大型になってしまうという問題点がありました。
そこで、インバータがモーターの回転数を変更させれば、プーリーによる調整が必要なくなり、機械の小型化が実現可能です。また、変速の構造が簡単になり、操作もしやすくなるほか、機械制御できめ細やかな調整ができるようになります。これによって、加工物に合わせたより細かい回転速度の設定が可能になり、従来よりも高精度の加工技術が期待できるようになるのです。
たとえば、主軸にドリルを取り付けた工作機械のような場合、工作物に穴をあける際にも、穴径次第で加工速度を変える必要が出てくることがあります。そんな際にインバータの能力を使い、的確な加工速度を実現することができれば、作業時間の短縮や刃物の寿命を延ばすなど、さまざまなメリットが考えられるようになるのです。また、インバータの調整をうまく行うことができれば、たくさんの品種に一つの機械で対応できるようになり、技術的にも多様化への期待ができます。
その他、省エネにも期待ができるなど、さまざまなメリットを見出すことができるでしょう。
工作機械のテーブル送り装置への使用
工作機械のテーブルおよび主軸台の送りは、主軸モーター1台のみで駆動させ、各送りへの動力の伝達は送り用モーターにあるクラッチによって行われています。別途操作盤があり、制御が可能です。そこへインバータを組み込むことによって、送りの速度を自由に変更することができるようになれば、加工条件に合わせて調整することができるようになります。加工の多様化、簡略されたシステムになり、さまざまな利点が考えられるようになるでしょう。
例えば、木工用工作機械の場合、木材の厚さや形状によって、送りの速度を変更したいような場合に便利です。作業効率のアップはもちろんのこと、モートル(ドイツ語風のモーターの表現)は全閉型が使用できるようになり、故障を減らすこともできます。
今までのインバータを使用しないタイプの工作機械では、速度調整を行うのが難しく、モーターの故障も多くありました。また、細かい調整が難しいことで、同じ工作機械なのに加工する製品に合わせた機材の調達を余儀なくされていたり、作業者の技術を求められていたりしていた現状もあります。
インバータの登場により、コスト面でも、省エネ面でも、そして技術面でもさまざまなメリットが生まれるようになったのです。
ポンプの吐出し量の可変に使用
ポンプはその名の通り、さまざまな液体を吐出し、運び出すのが本来の役目ですが、ただ一定量を吐き出しているだけでは不便な場合も多く出てきます。そこで考えられたのは開閉バルブによる流量の調整です。吸入側にもバルブはありますが、これで調整してしまうと圧力低下によるキャビテーション(気化、沸騰など)が発生してしまうため、調整は吐出し量で調整する必要があります。これは、インバータの場合も同じです。
渦巻きポンプやギヤポンプなどを使う場合、インバータでその回転数を変化させ、吐出し量を調整することが可能です。多段階速度機能やプログラム運転機能によってある程度定められた調整も自動で行うことができます。ただし、これではその瞬間の必要量に完璧に対応できているとは限りません。そこで登場するのがPID機能です。
PID機能とは、出力値に対して目標値と入力値による偏差、積分、微分の要素で演算し、その場で値を決定する制御機能です。インバータを採用した吐出し量可変の場合、ポンプの制御システムにPIDコントローラーを組み込まずに済むため、制御システムのコントロールも簡単なものにし、使いやすいものにすることも可能です。
ただ調整するだけでなく、状況に合わせた瞬時の調整もできるようになるため、インバータが採用されることも多くなってきています。
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