9.ギヤードモーターのブレーキについて
ギヤードモーターのブレーキについて
商用電源での運転(直入れ運転)やインバータで運転しているギヤードモータの減速、停止には、いくつかの方法があります。
1. 電源の遮断、及び電磁ブレーキでの停止
ギヤードモータへの印加電圧を遮断することにより、ギヤードモータの駆動力が失われ、惰性での回転(フリーラン状態)になります。負荷トルク(機械等の抵抗力)によって減速し停止に至ります。
減速時間は負荷(機械とギヤードモータ)の慣性、負荷トルクの大きさにより決まります。
併せて電磁ブレーキを使用して停止させる場合は、ギヤードモータへの印加電圧が遮断された後、電磁ブレーキを動作させることで負荷トルクと制動トルクにより短時間で減速できます。停止後はそのまま電磁ブレーキの保持トルクにより機械を停止(固定)させておくことができます。
電磁ブレーキの回路には普通制動回路と急制動回路があります。停止位置精度を必要とされる場合や昇降機械などは、ブレーキの応答時間を短縮する急制動回路を適用します。
2. インバータ駆動による減速と停止、電磁ブレーキとの併用について
インバータ駆動では、設定された減速時間により減速停止することができます。
この際、回転しているギヤードモータよりもインバータの出力する周波数を下げることで、マイナス負荷(負荷から回される)のトルクを出力して減速停止します。
使用の機械をフリーラン停止した場合にかかる時間よりも、短い減速時間で減速する場合インバータの過電圧保護によるエラーが生じる場合があります。この場合は、制動抵抗器の使用が必要になります。
インバータが最低出力周波数・始動周波数で出力を停止したあと、慣性によりモーターの回転が継続し、すぐに停止しない場合があります。このような場合は、インバータの直流ブレーキ機能を使用することでモーターを停止させることができます。
ブレーキの制動制御について
ブレーキ付きのギヤードモータは、結線の方法により3つの制御方法があります。
1つ目は一番オーソドックスな「交流切りB」です。この制御方式のポイントは、配線が電源ラインの接続だけで運転可能ですので、配線の数が少なくてすみます。
ただし、インバータを使用した制御ができず、昇降運転にも対応できません。また、制動遅れ時間に関しては、後述の制御方法に比べ劣ります。
制動遅れ時間とは、スイッチをOFFしてから制動開始までの時間のことで、制動時間とは異なります。
2つ目の制動方法は「直流切り」といい、制動遅れ時間が最短のため急制動を要する用途、例えば昇降運転などに最適です。インバータを使用した制御は可能ですが、後述する「交流切りA」には及びませんが、制動遅れ時間は3つの制動方法の中で一番短くできます。
最後の制動方法として「交流切りA」があります。この方法は、モータとブレーキの回路が個別回路のため、インバータ駆動に最適な制動方法です。昇降運転にも勿論対応可能です。
整流器とブレーキの制動方法について
ブレーキ付きギヤードモータのブレーキ作動には、整流器が必要です。
モーターを駆動するために必要な電源は交流電源ですが、ブレーキを制御するために必要な電源は直流です。
そのため、直流電源を得るために整流器が必要になってきます。整流器は交流電源を整流して直流電源に変換しますので、ブレーキ付きギヤードモータの制動には必須となります。
ギヤードモータのブレーキの制動方式は無励磁制動といって、一般的には安全ブレーキ・OFFブレーキといいます。
この制動方式は、ギヤードモータの電源が切れた(OFF)状態でブレーキが作動します。
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