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 17. 標準効率・高効率・プレミアム効率モータ

誘導モータの効率規制を説明します高効率モータ(IE2の三相誘導モータ)を説明しますプレミアム効率モータ(IE3の三相誘導モータ)を説明します

誘導モータの効率規制

○三相誘導モータの効率と規格
三相交流の入力に力率を掛けると有効電力となります。この有効電力がモータに入力されるエネルギーです。この入力エネルギーに対する出力の比を「効率」といいます。効率は、モータ内部の電気的・機械的損失が小さいほど高くなります。
モータの効率基準は、2000年にJISにより定められました。
国際標準として、2007年に効率の算定方法の規定が定まり、2008年にIEC60034-30(単一速度三相かご形誘導電動機の効率クラス)が制定されました。

○効率クラスとは
効率クラスは、効率基準値をクラスで分類したもので、IE4(スーパープレミアム効率)、IE3(プレミアム効率)、IE2(高効率)及びIE1(標準効率)の4段階です。この効率クラス(IEx)は、モータの銘板に記載されます。

○各国の動向
米国では、エネルギー政策法の制定により、2002年からモータの定格銘板に全負荷効率値と適合証明番号の記載が義務付けられました。
欧州では、2011年以降IE2レベルを満たし、2017年にはIE3レベルを満たすか又はIE2レベルにインバータを搭載する義務化を定めました。
中国では、2011年に効率基準値を定めました。

○シリーズ名と効率
例えば、日立産機のザ・モートルNeo100シリーズや、三菱電機のスーパーラインシリーズSF-JR型は標準効率(IE1)相当です。


高効率モータ(IE2の三相誘導モータ)

○高効率(IE2)の内容
高効率モータ(IE2)は、各国及び日本の高効率規制に対応するために、低損失化を図っています。このため、二次抵抗を小さくしています。すると、すべりが小さくなり、標準モータと比較して、定格回転速度が速くなります。高効率モータ(IE2)は、高速回転させてしまうと所要動力が増大します。

○高効率モータの費用対効果
高効率を実現する低損失化のために、IE2, IE3等のモータでは、鉄心形状の最適化、材料の高級化などの設計がなされています。このため、製品コストは標準モータと比較して高コストとなります。一方、省エネにより運転のための電気料金が低コストとなります。
長時間運転する用途では、導入時のコストアップを導入後の電力料金の低減で回収し、損益分岐点を超えた後は節約となります。
この省エネは総合的に達成すべきであるため、始動と停止の繰り返しが多い用途など、巻線型モータが省エネに適している場合もあります。標準モータ使用時よりも高速回転となり入力電力が増加してしまう場合には、ギヤの変更やインバータ制御により回転数を同一とすることで、高効率モータによる省エネ効果を得ることができます。

○シリーズ名と効率
例えば、日立産機のザ・モートルNeo100 Super Powerシリーズや、三菱電機のスーパーラインシリーズ SF-HR型は高効率(IE2)相当です。


プレミアム効率モータ(IE3の三相誘導モータ)

○プレミアム効率(IE3)への規制
2015年4月1日からIE3のプレミアム効率のモータの製造・販売が義務付けられました(省エネ法)。規制以前からご使用のモータはそのままご利用いただけます。このIE3相当の効率規制は、日本の他、米国、欧州、韓国などでも始まります。
このIE3の効率を実現するため、鉄心、コイル、フレーム、ファン、回転子などの設計が見直されました。取付寸法は従来品との交換がしやすいよう同一サイズとしている製品が多いです。

○プレミアム効率(IE3)モータの導入効果
IE3のプレミアム効率は、IE1との比較で40%から50%削減、IE2との比較でも20%から30%程度の削減となります。
IE3のモータを導入すると、IE1からIE3への更新で、4極・5.5kW・200V、1日12時間、300日駆動すると、年間2万4千円程度の電気料削減と見込まれています(三菱電機)。また、37kW、1日16時間、300日で、13万1千円程度の削減になるという試算がされています(日立産機)。
始動と停止を繰り返す場合や、高速回転となることで入力が増加するような場合には、総合的に省エネにならない場合もあります。

○シリーズ名と効率
例えば、日立産機のザ・モートルNeo100 Premiumシリーズや、三菱電機のスーパーラインシリーズ SF-PR型は高効率(IE3)相当です。


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