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 16. モータでよくあるトラブルと対処法

無負荷を説明します異常音を説明します過熱と振動を説明します

トラブルの防止と発見(1)無負荷

○モータの無負荷状態で確認する
誘導モータの寿命について、メーカーは10年程度、ユーザは20年程度と考えています。モータの故障については、メーカーへのご相談となりますが、比較的簡易な診断方法があります。1つ目は、無負荷状態での動作チェックです。

○モータ軸が無負荷で回転する
無負荷で軸が回転する場合で、動作時に回転速度が上昇しない際には、接続不良や始動器の切り替え不良が考えられるため、接続を再確認し、始動器の点検をします。軸受部から金属音がする場合、グリースの交換で対処できることもありますが、軸受不良の場合には専門工場での修理が必要です。温度が異常に上昇する際は、電源の異常、ファンへのゴミの付着などによる冷却の不具合が考えられます。周囲の通風状況も確認してください。無負荷の回転で振動が大きい場合、据え付け台の劣化や据え付けの緩みなどの原因が考えられます。

○モータ軸は無負荷で回転しない
安全な状態として、手で回した際にいずれの方向にも回転する場合、ヒューズなど電気接続系を再確認してください。手では回らない場合、軸受の破損などが考えられます。専門工場での修理を検討してください。無負荷で回転せず、異常音がする場合、欠相により単相となっている可能性があります。接続を再確認してください。


トラブルの防止と発見(2)異常音

○マニュアルの確認
故障かどうか現場で早期に診断したい場合、異常音に着目すると手早いです。

○モータの異常音
負荷時に回転するが、異常音がある場合、過負荷・グリース不良・通風路の遮断・ファン等の締め付け不良・電源の異常などが考えられます。比較的現場での処置がしやすい原因です。一方、軸受不良・回転子と固定子の接触などは専門工場での修理が必要です。
うなり音をともなう周期的な音・振動がある場合、固定子や回転子に故障が発生した可能性があります。この場合、電流計が振れます。

○モータの異常音と他の現象
異常音があり、過熱もある場合には、電源をチェックします。電源は、単相となっていないか、電圧が大きく降下していないかを確認します。異常音があり、軸受に過熱がある場合、軸受に異常がある可能性が高いため、メーカーに修理などの相談をします。異常音があり、振動もある場合、負荷の相手機械の振動や、不釣り合いの低下を図ります。
また、異常音と振動の組み合わせでは、据え付けやベルト掛けの不具合も考えられます。この場合、軸受が過熱することが多いです。異常音と回転異常との組み合わせでは、電源の異常や、モータコイルの異常が考えられます。過熱に気づかずモータコイルの焼損をまねくと、修理が必要となります。


トラブルの防止と発見(3)過熱と振動

○軸受の過熱
軸受の過熱は色々な原因で発生します。据え付け・直結・ベルト掛けの不具合や、ベルトの張り過ぎでも軸受が過熱します。ベルトの張力など適正にしてください。周囲温度が高く、異物侵入があった際にも軸受の過熱がみられます。異物侵入では、絶縁抵抗を低下させます。軸受の過熱と、異常音・振動が同時に生じた場合、軸受自体の故障が考えられますので、メーカーに修理の相談をしてください。

○フレームの過熱
フレームの過熱は、配線不良・電圧降下・過負荷・始動頻度の多さなどで生じます。早めの措置をするか、過負荷が改善されない場合には定格出力のあったモータに変更します。配線不良の場合、始動器・開閉器等の過熱が、フレームの過熱をもたらす場合もあります。配線などの機器も確認してください。

○モータの振動
モータの振動は、据え付け・直結・ベルト掛けの不具合、プーリ等のはめあいの不良、負荷の不釣り合いなどが原因となります。モータ及び周辺の清掃が有効な場合もあります。

○モータの廃棄
不要となったモータは、できる限り再生資源化してください。必要に応じて分解し、金属くずや電気部品等としてスクラップ業者に売却などします。軸受グリースは産業廃棄物の扱いですので、産業廃棄物処理業者に処理を委託してください。


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