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 14. モータの用語を知ろう! 回転関係

周波数を説明します極数を説明します回転速度を説明します

周波数

○周期と周波数
直流は時間の経過に関係なく電圧は一定の値となります。それに対して、交流は時間の経過とともに規則正しく変化します。交流電圧の瞬間値を時間の経過とともに観察すると、正弦波となります。交流電圧の瞬間値が変化して最初の状態に戻るまでの期間を、1周期といいます。
1秒間の周期の数を周波数といい、Hz(ヘルツ)で表します。

○交流の周波数
日本では、中部地方以西は60Hz, 以東は50Hzです。富士川から糸魚川のあたりが境目です。明治時代、西日本はアメリカから60Hzの発電機を購入し、東日本はドイツから50Hzの発電機を導入したため、日本の東西で周波数が異なりました。

○周波数の相違と電圧
誘導モータは、周波数に比例した速さで回転するため、交流の周波数が異なると、回転速度が変化します。標準モータの多くは、東日本・西日本のどちらの周波数でも運転できるようになっています。
かつて、東海道新幹線の開業時には、列車側で異なる周波数に対応することが困難であったため、東日本でも60Hzに変換して列車に供給することとしました。しかし、近年の北陸新幹線では、関東の50Hz、長野の60Hz、上越の50Hz、 北陸の60Hzと3回切り替わりながら走行します。


極数

○誘導モータの極数
極数とは、誘導モータの固定子につくられる磁極の数です。固定子の一次巻き線に電流が流れてN極とS極が1組生ずる場合、極数は2極です。
標準モータでは、2極、4極、6極、8極のタイプが製造されています。カタログなどでは、誘導モータの極数は、Pで表されています。

○極数の影響
固定子の巻き線に交流電流が流れると、電流のプラス・マイナスが交番するごとに、磁極が反転します。1周期に2回磁極が反転することで、固定された巻き線で磁極のみが回転する回転磁界が生じます。
極数が多くなると、回転磁界の回転速度が遅くなり、トルクが大きくなります。また、極数が多くなるほど、力率が低くなる傾向があり、定格電流を超える過負荷容量も大きくなります。

○極数の変換と速度
接続を変化させることで極数を変換できると、モータの回転速度を段階的に変化させることができます。例えば、4極と8極の切り替えをすることができると、速度を1:2に切り替えることができます。
極数変換モータは、回転速度を上げるとトルクも大きくなる低減トルク特性のタイプと、回転速度を変化させてもトルクが一定の定トルク特性のタイプと、回転速度を下げるとトルクが大きくなる低出力特性のタイプとがあります。
また、電圧を反転して印加するなどの工夫により変調し、擬似的に極数を増やして多段階の速度を実現するPAM方式の極数変換モータもあります。


回転速度

○誘導モータの同期速度
同期速度とは、固定子に生じる回転磁界の回転速度です。交流電力の周波数f、極数pとすると、同期速度は次式で表されます。

同期速度=(120×f)/p [rpm]

このように、同期速度は、周波数に比例し、極数に反比例します。

○回転速度とすべり
回転速度とは、単位時間に回転子が回転をする速さをいい、1分間あたりの回転数rpmで表します。
誘導モータでは、回転子の回転速度は同期速度より数%遅くなります。この遅延をすべりといいます。
誘導モータは、無負荷でも、負荷が大きくても回転速度がほぼ一定となります。これは、誘導モータの利点の一つです。

○回転速度とトルク
モータの出力P [kW]は、トルクをT、回転速度をnとして、次式で表されます。

モータ出力P=(T×n)/9550

このため、同一の誘導モータでは、回転速度を遅くすると、トルクが大きくなり、回転速度が速くなると、トルクが小さくなります。
近年の高効率モータは同一の定格出力でも標準品に対して回転速度が若干速くなっているため、トルクが若干小さくなっています。

○回転速度の制御
誘導モータも、インバータ装置(周波数変換装置、VVVF)を用いて周波数を変化させることで、柔軟な速度制御をすることができるようになりました。


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