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 4. モータの始動方式について

三相誘導モータの始動特性を説明します三相交流電源に直接接続するじか入れ始動を説明します三相交流の結線を切り替えるスターデルタ始動を説明します

三相誘導モータの始動特性について

○始動電圧と電圧降下
三相誘導モータは、電力会社からの三相交流電圧をそのまま加えれば、ブラシを必要とせずに回転磁界が発生して回転し、負荷が重くなっても軽くなっても安定した回転速度を得ることができるという、素晴らしい特性を持っています。
しかし、誘導モータは、始動時に定格電流の5倍から7倍の始動電流(突入電流)が流れるという注意点があります。始動電圧を全電圧とすると、始動電流の発生により電圧降下が生じます。電圧降下は、同一系統の他の電気機器への悪影響となります。

○始動電圧と始動トルク
始動電圧が、誘導モータの始動トルクを決めます。誘導モータの始動トルクは、定格トルクの1倍から2倍とあまり大きくありません。負荷トルクが始動トルクよりも小さければ、始動電圧でそのトルク差による回転を始めます。

○三相誘導電動機の始動方式
始動時に定格トルクよ大きいトルクを必要とせず、電源の容量が十分にあり、始動電流を許容する遮断器を使用できる環境では、電源の供給電圧の全電圧を使用して始動をすることができます。これを全電圧始動(じか入れ始動)といいます。
大型の誘導電動機を用いる、負荷の慣性が大きい、電源容量が小さい、発熱に弱い、始動トルクをやわらげたいなどの場合には、スターデルタ始動方式など、始動から十分な加速をするまでの間の供給電圧を下げる工夫が必要となります。


三相交流電源に直接接続するじか入れ始動

○かご形誘導モータのじか入れ方式の仕組み
じか入れ(直入れ)始動方式は、全電圧始動方式であり、定格電圧の電源をモータの端子に直接に与えて始動し、そのまま駆動する方式です。始動電流に対して十分な電源容量をもつ小型の電動機で広く用いられています。

○全電圧始動方式のメリット
三相誘導モータでは、誘導モータとは別の始動機を必要とせず、最も簡単な始動方法で、低価格で実現できます。
このじか入れ方式のメリットは、始動時と定常運動時で電圧の切り替えがないため、動き始めから目的とする速度となるまで途切れや振動のないスムーズな動作となることです。

○全電圧始動方式のデメリットと対策
始動電流の悪影響が、全電圧始動方式のデメリットです。大きい始動電流にともなう電圧降下により、他の機器の安定動作を妨げる可能性があります。
また、負荷の慣性が大きい場合や、逆に負荷が小さく加速度が大きいと、始動電流による急速な発熱があると、モータの要素の寿命を縮めます。
これらデメリットを避けるには、十分な電源容量で採用するとともに、電力系統の保護装置を使用します。また、オンオフの多いシステムでは、他の始動方式を採用することが考えられます。

○巻き線型誘モータの始動方式
巻き線型誘導導モータでは、始動用の抵抗器を使用することで、始動効率を高めながら始動電流を押さえることができます。


三相交流の結線を切り替えるスターデルタ始動

○結線の切り替えで電圧を変化させる
三相誘導モータのステータの一次巻線(固定子のコイル)は、モータは、電力会社からの三相に応じて3つの端子があります。全電圧では、各端子を頂点とするデルタ型に接続します(デルタ結線)。
この3つの端子をY字(の上下反転)の各端部に接続するスター結線とすると、コイルへの電圧は、デルタ結線の約1/1.73(約58%)となります。この分母は√3です。
スター(Y)型の結線で始動をすると、電圧を押さえて始動電流を小さくすることができます。そして、加速後にデルタ(Δ)型の結線に切り替えることで、全電圧で運転します。

○スターデルタ始動のメリット
スターデルタ始動では、結線を切り替えるのみで、始動時の供給電圧を低下させ、始動電流の悪影響を除去することができます。スターデルタ始動は、対応する電磁開閉器というスイッチの一機能に組み込まれていることが多いです。また、モータに外付けする自動スターデルタ始動器もあります。

○スターデルタ始動のデメリットと対策
トルクは電圧の二乗に比例するため、スター結線で電圧が1/√3となると、トルクは1/3となります。三相誘導電動機は始動トルクが小さく、さらに1/3となると、大きな加速トルクを必要とする負荷に対応できないこともあります。この場合、より出力の大きいモータを選定することで対応します。


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